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沈まぬ太陽

2009.12.27 *Sun
最近まで劇場公開されていた山崎豊子の「沈まぬ太陽」の原作を読み終わった。分厚い文庫本サイズで5冊という大作で、内容も読者を飽きさせない面白いものだった。



知ってのとおり、この小説は、日本航空の経営体質を告発する本で、かつ脚色も入っているという微妙なスタンスの作品である。


[以下ネタばれありかも?]
最初に書いたが、面白かったか面白くなかったかと問われれば、それは面白かった。ものすごく面白かった。先日ノロウィルスでダウンしていたときも、体中の倦怠感を押して読んでいた本だ。

しかし、ほぼ実話なところに脚色の入った作品、というスタンスが微妙すぎる。

なにしろ善人と悪人がはっきりしている。いやというほどはっきりしている。ここが話のリアルさを大きく削いでいる。大人なら誰でも知っているように、完全な善人や悪人なんてアニメの世界にしか(?)いない。しかしこれをこの本のように完全に分離して描写されると、どうしても現実の話として受け取れない。ここに著者の世界観に対して時代を感じるのである。物語を面白くするためといっても、実情を認識する上で大きく影響する設定を変えてしまっては、もはや現実を映しているとは言えないし、それによって現実の誰かを批判することはできない。例えば主人公はかくれ共産党員であるというレッテルを貼られて会社から迫害をうけているのだが、Webで調べた限りではこのモデルになった人は恐らく本当に共産党員である。だから、事実としては、共産党員でない人を共産党員だとレッテルを貼ったところが問題なのではなく、共産党員を共産党員だからという理由で会社が迫害をしたというところが問題なのだと思われる。この違いは大きい。事実歪曲だ。いや、そもそも事実は党員かどうかということとは全く無関係なのかもしれない。怪しい。
(ちなみに事実認識に関してはあくまでWebを調べただけで、動かしがたい根拠を持ってこういっているわけではないです。悪しからず)

それなのに、設定上の現実との類似性があまりにも高いのである。例えば第三巻は「御巣鷹山篇」と題されている。御巣鷹山と聞いて連想するのは一つしかない。そして内容も、ボイスレコーダーの様子やらなにやら、全てJAL123便の事実に忠実に基づいている。この飛行機は、物語の中では「NAL123便」となっている。他にも、とりあえず名前は多少変えているものの元の名前をあまりにも簡単に連想できる(例えば金丸副総理が竹丸になっていたりとか。竹下+金丸?)ので変える意味はなく、この物語を真に受けるとJALってダメな会社だ!政治家もダメだ!という結論にならざるを得ない。昨今の両者の低迷を見ればそれはある程度正しいかもしれないが、この本に限ってはそこには多くの「物語のために変更された」事実と異なる脚色が紛れ込んでいるのである。(ちなみに物語の中の人物と実在の人物の対応は、WikipediaのGoogleキャッシュにある。じきになくなると思うが)

だから、さんざん物語を楽しんでおいて言うのは作者に対して申し訳ないのだが、私はこの本はちょっと問題ありだと思う。ここまで個人攻撃、あるいは一社を攻撃しておいて、「いや、これはフィクションですから」という言い訳を残しておいているというのはあまりフェアとは言えない。フィクションにするのならもっと事実をぼかすべきだし、特定の政治家や会社を告発するのなら、事実を歪曲しない範囲で語るべきだと思った。

でも正直言って映画は見てみたいです。
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大和田 茂

Author:大和田 茂


元IT系の研究家。現在はゲーム/玩具作家をめざしている。


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